語り継ぎたい名作

八月の狂詩曲(ラプソディー) [DVD]

八月の狂詩曲(ラプソディー) [DVD]


黒澤監督、没後10周年ということで一挙放送されていたので見たのですが、予想外に深い映画でした。


あまりにタイトルが違うので全く気づきませんでしたが、村田喜代子芥川賞受賞作「鍋の中」が原作だったとわ!
なんで鍋なのかと思ったら、主人公である祖母の数多い兄弟の名前が全て金偏がつくからか?
鉄二郎・鈴子・鏡子・銅三郎といった具合に。 発想が面白い。
ストーリーは、昭和の戦争を知らない平和な時代になってもなお、長崎原爆の傷を引きずるお婆ちゃんと孫達のひと夏の
騒動を描いており、お婆ちゃんが語る原爆が落ちた瞬間、山の合間から見えたピカを人間の目で表現しているのが
恐ろしく美しく不気味で印象深い。
爆心地から30キロ程離れた地に住んでいても、被爆の影響で毛髪が抜けた女性が多いという逸話は、実際の女性達が
モデルなのでありましょう。
って、ちょっと待て! うちの長崎の大叔母も頭禿げているんだよ!! 佐世保在住(爆心地から60〜70k)とはいえ、
もしや、被爆の影響なのか!!?と、今頃気づいて衝撃。
上手いこと、リチャード・ギアアメリカ人として絡めた感動・・・というよりは、考えさせられる作品でした。
普段は意識がハッキリした元気なお婆ちゃんなのに、カミナリの音を聞くと原爆投下時と混乱して錯乱状態になるのは
晩年の我が祖母と行動がダブって非常に切なかったです。




ちなみに、村田喜代子さんは元同僚の高校時代のクラスメイトの母上だったとか。
何か気になる本があると、そのクラスメイトに聞けば『それ、お母さん面白いって言ってたよ!』と薦められたとか。
あと、古い時代の腐を匂わす小説(森茉莉とかかな?)にも詳しかったらしく、ちょっと親近感のある作家ということでw