無声映画に嵌る(1) 〜早川雪洲〜


キッカケは、テレビ東京「世界を変える100人の日本人」 だった。
この中で、早川雪洲(1886年6月10日〜1973年11月23日)が取り上げられた。
雪洲を知ったのはいつ頃だったか? 
以前から非常に気になる俳優ではあったものの、中々見る機会が無く現在に至る。
当時、チャップリンと双璧の世界的大スター(全盛期の年収、現在に換算して40億円!?)であったにも係わらず、
時代が時代な為に日本では上映禁止・国辱奴扱いでその作品も知名度も低い。 しかし、 
アメリカ国内のみならず世界的にも絶大な人気を誇り、雪洲が現れると女性ファンが何重もとり囲み、
水溜まりがあれば、女性達が我れ先に着ている毛皮のコートを雪洲の前に敷き積めるといった人気ぶり。


東洋人の俳優に? マジで?? 男前っちゃ男前だけど、どこにでもいるような顔に見えるんだが? 
と、雪洲を知った当初はその伝承が俄には信じられなかったのですが、以前ブロードキャスターのコメンテーターだった、ジョージ・フィールズ氏が
自分の両親について語っていたところによると
『オーストラリア人の母が、早川雪洲の熱狂的ファンで、絶対に日本人男性と結婚したいと思っていたらしい(笑)』 

という趣旨の事を話していて、やはりその人気は間違い無かったんだ・・・と、驚いた。(生き証人的な情報感謝)
あと、かの、オードリー・ヘプバーンも共演の打ち上げで、憧れた雪洲を喜ばせる為に
『貴方の為に、今日は日本娘になってみました♪』 と着物を着て2ショット写真を撮っていた。
(これがまた着物が似合う西洋人ナンバー1=完璧な美人は何をやっても様になるんだな・・・) 


チート [DVD]
つうわけで、とりあえず一番有名・出世作である、1915年製作の「チート」という映画を入手。 
チートってなんだ?と調べて見ると、直訳で「ズルい」「騙す」。 映画的には「ペテン師」。
社交界の有閑美人マダムに恐ろしい罠をしかける日本人青年役が早川雪洲
一応、日本に配慮?してか、ビルマの富豪(象牙王)で、アラカウという日本には微妙に存在しない役名。
普段は、洋服でダンディに決めているが、自宅は和風でワイシャツの上に古風な羽織をはおっている・・・のが異常に耽美つうか、
オリエンタルで妖しい空気を醸している。




ワシは基本的に、白黒映画というのは苦手だったのですが、目覚めた・・・確実に目覚めた。堕ちた(何
雪洲の人気が爆発したのも、白黒・モノクロが良い効果をもたらしたに違いない。
なんつうか、現在で言うところの漫画的な効果と言いましょうか、とにかく白と黒のバランスが美しい!!
多分、唇がハッキリ見えるように口紅か何かを塗っているのかな? 歌舞伎的な雰囲気もある。
そして、何よりその口元が、薄い唇が魅力的だし、不気味一歩手前の三白眼がまた素晴らしい!!!
有名な、横恋慕した人妻に焼きごてをするシーンについては、3歳児並みの怖がりのワシでもなんとか見れたし、
いやむしろ、目が離せない妖艶な演技・演出。
という訳で、この映画では悪役にも関わらず、その鬼畜っぷりに世界の女性が熱狂したのに激しく納得。
いつの世も、鬼畜耽美は世界を救う(違
とりあえず、もしワシが20世紀初頭に生きていたら、間違いなく雪洲廃人になっていたことでしょう\(^o^)/
あと、西洋人の俳優より雪洲の存在感・オーラがハンパない。 人の運命、魅力ってのは本当に不思議だ。




しかし、95年前(日本だと大正5年)の映画って凄いですよね。
あー。この映画の出演者、もう誰もいないんだな・・・と哀愁を感じつつ、しかし映画俳優ってのは画面上では100年でも200年でも、
今後1000年でも永遠の時を生き続けるんだなと、今更ながら驚き、感動し、羨ましく感じた。
あと、早川雪洲は1973年てことは、昭和48年まで存命だったんですな。
サイレント映画から、トーキー映画の狭間を駆け抜けた神がかった俳優ということで、ワシのニジンスキー萌え?に始まり、
サラ・ベルナール → 梅蘭芳に続く、胸締め付けられ恋焦がれる伝説のスターへの猫田的殿堂入り認定!