名も無きもの

nekonyao2009-02-09

某所のブログを読んで思い出した話。
古道具・骨董市で、昭和初期?の名もなき上品な美男美女のアルバムが売られていたとか。
二人の赤ん坊と思われる写真、兵隊の格好をしている男性の写真、その後は無かったとか。
やはりどう考えても、売っていいもんじゃないですわな・・・
私は名も無き女性の一生を描いたような映画やドキュメンタリーが好きですが、そういうリアル百鬼夜行抄的な
切ない空気全開のものは聞くだけで胸が苦しく、切なくなります。





で、ちと話は違いますが母の話。
終戦後、祖母はアメリカ軍人宅で家政婦をしていたそうだ。 奥さんがとても親切で優しい人だったらしい。
祖母が生前、「その夫婦の子供が可愛くってねぇ。サニー坊やにまた会いたい。どんな大人になったかねぇ♪」とよく言っていた。
サニー坊や。 昭和21年当時で3歳くらいかな。 てことは現在、60代後半くらいか。
そしてそのご夫婦が帰国する時、餞別がわりに母の大切にしていた日本人形(雛人形)を勝手に贈ってしまったらしい。
終戦間際に夫(祖父)を亡くし、極貧状態の祖母にあげられるものはそれしかなかったようだ。
母も、そのご夫婦の事は好きだったらしいが、しかし唯一の自分の宝物を持っていかれるのは非情に悲しかったようで、
いまだに、その時のことを口にしては溜息をつく。
そんなに高価な物ではないはずで、作られた時期からすると70年くらい経っているはずで、まだ現存していたとしても
ボロボロかもしれない。
・・・でも時々、その会った事も無いアメリカ人家族、見たことも無い日本人形を思い描いては、サニー坊やは今でも
飾ってくれているかなぁ・・・と、気になって仕方が無いワタシであったりします。