レオくん


萩尾望都新刊、レオくん。
可愛い猫のお話?かと思いきや・・・そこは、手塚治虫に続く天才漫画家、萩尾望都
深すぎて脱帽。 ていうか、魂が慟哭系。
猫本シリーズでの猫ストーリーが飛びぬけていた萩尾先生。
漫画家さんは猫好きが多いですが、最近まで萩尾先生が猫好きって知らなかったので、非常に意外。
というわけで、飼い猫レオくんをモデルにして、猫好きなら必ず考えるであろう猫との対話や友情・愛情をふんだんに
盛り込みつつ、しかし確実に現代社会、人間の闇を風刺した作品。 以下、若干ネタバレ。



猫のレオくんは、給食のプリンを食べたいが為に小学校に入学したいと大騒ぎ。
しかし、そこは勝手気ままで自由な猫なので人間社会の規律に馴染めず精神的に追い込まれてゆく。
これを読んでいると、たとえば多動性障害児童などは、こんな感じで学校生活がつらいんだろうなぁ・・・
とか妙に感情移入して泣けてしまう。



レオくんが、(なぜか)人間の女性とお見合いを繰り返す話では、人間の醜いエゴを押し付けられる感じがして苦しく、
そして恥じ入りたい気分になってまた泣ける。



レオくんが漫画家のアシスタントに出向く話では、何をやっても失敗ばかりで役に立たないのに、ご飯だけは沢山食べたい。
なんだかこれは会社生活で全く仕事が出来ず白い目で見続けられた自分の過去とダブり、平静ではいられない。
ただ、レオくんは何をやってもとても愛嬌があって可愛らしく愛されている!という救いはあるんですけどねw



あと、面白かったのは、24年組仲間で親友でもあろう大島弓子先生のグーグーだって猫であるの映画に、レオくんが
出演しようと奔走する話。
しかしこれも、自分が幼い頃、何をやっても不器用で、取り残されてゆく感情にダブって泣けてくる。
でも、ラストシーンでチャングムの格好したレオくんには茶吹いたwww



猫を題材にした漫画では、大島弓子の右に出る者は無い!と思ってましたが、切り口の全く違う現代の育児の聖書?的な
ところでは、神がかった名作であると思います。
ちなみに、チビコさんの前に飼ってた猫が「レオくん」だったので、感情移入度が個人的に非常にポイントが高いというのも
あったりします(´∀`*)